コインを100回投げると50%に近づく?
──大数の法則をやさしく解説
2026年2月
大数の法則とは
コインを 1 回投げたとき、表が出るか裏が出るかは 50% ずつです。 しかし実際に 10 回投げたら、表が 7 回・裏が 3 回ということは珍しくありません。
ところが 100 回・1000 回・10000 回と試行を重ねると、 表の出る割合は 50% にどんどん近づいていきます。 これが大数の法則(Law of Large Numbers)です。
大数の法則(直感的な定義)
同じ試行を独立に繰り返すとき、試行回数 n が増えるほど、 「結果の相対頻度(=出た回数 ÷ 総回数)」は理論的な確率に近づく。
「収束」と「保証」は違う
大数の法則でよくある誤解が「100 回投げれば必ず 50 回表が出る」というものです。 これは間違いです。
大数の法則が言うのは「比率が 0.5 に近づく」であって、 「絶対に 50 回になる」ではありません。
| 試行回数 | 表の回数の例 | 表の比率 |
|---|---|---|
| 10 回 | 7 回 | 70.0% |
| 100 回 | 57 回 | 57.0% |
| 1,000 回 | 512 回 | 51.2% |
| 10,000 回 | 5,043 回 | 50.4% |
※ 上の例は典型的なシミュレーション結果のイメージです。試行のたびに異なります。
10 回では表が 7 回(70%)になることがよくあります。 でも 10,000 回では表が 5,043 回(50.4%)程度に収まることがほとんどです。 「絶対 50 回」ではなく「50% に収束」です。
なぜ収束するのか
直感的に理解するなら、「ズレの影響が薄まる」と考えるとわかりやすいです。
10 回中 7 回表が出た(70%)とします。 次の 10 回で 5 回表が出れば、合計 12/20 = 60%。 さらに 10 回で 5 回なら 17/30 ≈ 56.7%。 というように、初期の「偏り」が薄まっていきます。
数学的には標準偏差の観点から説明できます。 n 回試行したときの表の割合の標準偏差は √(p(1-p)/n) = √(0.25/n)。 n が増えると標準偏差が小さくなり、50% 周辺に集中していきます。
日常での大数の法則
保険の仕組み
1 人の人間の病気・事故は予測不能ですが、100 万人の集団になると、 病気になる人の割合は統計的にほぼ一定になります。 保険会社はこの大数の法則を使って保険料を設計しています。
カジノの収益
ルーレットで 1 回賭けた結果は予測できませんが、 何百万回も賭けが行われると、カジノの収益は理論的な「場代(ハウスエッジ)」に収束します。 大数の法則があるからこそ、カジノビジネスは安定して成立します。
品質管理
工場で作られる製品の不良率が 0.1% と設定されている場合、 少量サンプルでは不良品が 0 個のこともありますが、 何万個も検査すれば不良率は 0.1% に近づきます。 大数の法則が品質管理の統計的手法の基礎です。
大数の法則とガチャの誤解
ゲームのガチャで「外れが続いているから次は当たりやすい」という考え方は、 大数の法則の誤解から生まれます。
確かに試行回数が増えると当選率は理論値に収束しますが、 それは「外れた分が補填される」のではなく、 「試行回数が増えるほど初期の偏りの影響が薄まる」からです。
外れが 100 回続いても、101 回目の当たりやすさは変わりません。 各試行は独立しているからです。
まとめ
- 大数の法則:試行を繰り返すほど、結果の比率は理論的な確率に近づく
- 「収束する」≠「必ず理論値になる」── 比率が近づくだけ
- 各試行は独立しているため、過去の結果は次の確率に影響しない
- 保険・カジノ・品質管理など、大数の法則は日常のあちこちで使われている
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