ガチャ・確率論

確率1%を100回引いても100%にならない理由
──ガチャの数学を理解する

2026年2月

「100回引けば必ず当たる」は間違い

スマートフォンゲームのガチャで「排出率 1% のキャラ」を引こうとするとき、 多くのプレイヤーは「100回引けば必ず当たる」と直感します。 しかし、これは確率論的に間違いです。

確率 1% を 100 回試行したときに「少なくとも 1 回当たる確率」は、 実際には約 63.4% に過ぎません。 つまり、100 回引いても当たらない可能性が約 37% 残ります。

計算してみましょう

P = 1 − (1 − 0.01)¹⁰⁰ = 1 − 0.99¹⁰⁰ ≈ 1 − 0.366 ≈ 0.634(63.4%)

なぜ 100% にならないのか──独立試行の概念

ガチャの各引きは独立試行です。 つまり、前回の結果が今回の確率に一切影響しません。

コインを投げて 99 回連続で表が出たとき、100 回目に裏が出る確率は何%でしょうか? 正解は 50% ── 1 回目と変わりません。 コインは「前回何が出たか」を覚えていないからです。

ガチャも同じです。99 回外れたからといって、100 回目の当たりやすさは変わりません。 「ハズレが続いたから次は当たりやすいはず」という感覚はギャンブラーの誤謬(gambler's fallacy)と呼ばれる認知バイアスです。

累積確率の公式

n 回の独立試行で「少なくとも 1 回当たる確率」は補事象の考え方で計算します。

P = 1 − (1 − p)ⁿ

p:1回あたりの確率 n:試行回数

確率 1%(p = 0.01)での累積当選確率を試行回数別に見てみましょう:

試行回数累積当選確率
109.6%
5039.5%
10063.4%
20086.6%
30095.0%
45999.0%

確率 1% で 99% に達するには、なんと 459 回の試行が必要です。

「平均は 100 回」の意味

確率 1% で当たるまでの平均試行数は 100 回(幾何分布の期待値 = 1/p)です。 しかし「平均 100 回」は「必ず 100 回以内に当たる」ではありません。

これは「日本人の平均寿命が 80 歳でも、80 歳以上生きる人も多い」のと同じです。 平均はあくまで長期的な中心値であり、個々のケースがそこに収まる保証ではありません。 200 回・300 回引いても当たらないことは、確率論的に「ありうること」です。

天井制度が存在する理由

こうした「理論上は無限に外れ続ける可能性」を上限で打ち切る仕組みが天井(ピティ)制度です。 「N 回以内に必ず当たる」という保証を設けることで、 最悪ケースを限定しています。

天井 100 回・確率 1% のガチャなら、最大 100 回で必ず当たります。 期待値は約 86 回(完全確率計算では天井までの期待値が変わります)。 天井があることで「どれだけ最悪でも 100 回分のコスト」と計画できます。

残り回数から確率を計算してみよう

天井が見えてきたとき、残り回数で自力で引ける確率は天井回避率シミュレーターで計算できます。

まとめ

  • 確率 1% を 100 回引いても当たる確率は約 63%(100% ではない)
  • 各試行は独立しており、前回の結果が次の確率に影響しない
  • 「平均 100 回」は保証ではなく長期的な平均値
  • 天井制度は「最悪ケースを限定する」ための合理的な仕組み